聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
 正直に打ち明けると言ったのに、全然じゃないか。玲奈がそう抗議をすると、彼は玲奈の背中に腕を回し、彼女の身体をゆっくりとソファに押し倒す。玲奈の腰のあたりに膝をつくと、熱っぽい瞳で彼女を見おろす。

「とにかく、俺はずっと昔から君にこがれていた。君の想像の何倍も君に惚れてる。そこは存分にうぬぼれていい」

 じりじりと彼は距離をつめてくる。首筋に彼の吐息がかかり、玲奈はびくりと身体を震わせた。

「言葉じゃわからないと言うなら、この身体に教えこもうか。俺がどれだけ君を愛しているか」
「やっ、待って」

 玲奈の言葉をのみこむように、彼は唇を塞いでしまった。ざらりとした舌の感触が玲奈の官能に火をつける。上顎をなぞられ、思わず「ふっ」と甘い喘ぎをもらす。

(本当に、私でいいのかな? そんな価値があるのかな)

 頭に浮かんだ玲奈の疑問は、一瞬で彼の熱に押し流されてしまう。甘く、優しいキスに翻弄され、あっという間になにも考えられなくなる。

「俺は君がそばにいてくれるだけで幸せだ。頼むからどこにも行くな。ずっとここにいろ」
 


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