Diary ~あなたに会いたい~
 なのに、自動改札の向こうに田辺さんの姿
が消えても、僕はそこから動けなかった。
 ここから一歩踏み出してしまったら、なぜか、
永遠に弓月を失ってしまうような……
そんな気がした。

 だから、足が竦んで動けなかったのだ。
結局、僕は壁に背を預けたまま、1時間以上
もの間そこに留まっていた。



-----そうしてその夜を境に、
弓月は僕の前に姿を見せなくなった。
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