エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。


 ***

【十時迎えに行きます】


 ランチに行く前日、千晃さんからそうメッセージが届いたために私は夜に棒状にしたクッキーの生地を作り冷凍庫にいれた。

 翌朝、六時に起きると冷凍されたクッキー生地をカットしてオーブンで焼く。その間にマフィンの生地を作り、型に流し入れた。


「お、美味しそうだな」

「お父さんおはよう」

「千晃くんに作るのかい?」


 私は頷くとクッキーが焼き上がった。クッキーの天板を出してケーキクーラーに焼き上がったクッキーを乗せた。オーブンの中にマフィンの生地を入れてスタートを押した。

 お菓子が焼き上がり、粗熱をとってからラッピング袋にクッキーとマフィンを入れると九時半になっていた。

 少し経つと、インターホンが鳴り千晃さんがやってきた。だけど、以前と格好が違いいきなり謝られた。


「すみません、急な仕事が入ってしまいました。私から誘っておいて本当に申し訳ありません」

「いえ、仕事なら仕方ありません」

「ありがとうございます。また連絡します」

「はい……あ、ちょっと待っていてもらえますか?」


 折角作ったんだしお菓子を渡さなきゃと思い、リビングに戻るとラッピング済みのものを持って玄関に向かった。


「千晃さん、これ……作ったので休憩にでも食べてください」

「これは……?」

「クッキーとマフィンです。私が作ったんですけど……良かったら」

「ありがとうございます。休憩時間にでも食べさせていただきます」


 千晃さんは丁寧にお辞儀をすると玄関から去っていった。今日暇になっちゃったなぁと思いながら私は、リビングに戻った。









  

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