エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。
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【十時迎えに行きます】
ランチに行く前日、千晃さんからそうメッセージが届いたために私は夜に棒状にしたクッキーの生地を作り冷凍庫にいれた。
翌朝、六時に起きると冷凍されたクッキー生地をカットしてオーブンで焼く。その間にマフィンの生地を作り、型に流し入れた。
「お、美味しそうだな」
「お父さんおはよう」
「千晃くんに作るのかい?」
私は頷くとクッキーが焼き上がった。クッキーの天板を出してケーキクーラーに焼き上がったクッキーを乗せた。オーブンの中にマフィンの生地を入れてスタートを押した。
お菓子が焼き上がり、粗熱をとってからラッピング袋にクッキーとマフィンを入れると九時半になっていた。
少し経つと、インターホンが鳴り千晃さんがやってきた。だけど、以前と格好が違いいきなり謝られた。
「すみません、急な仕事が入ってしまいました。私から誘っておいて本当に申し訳ありません」
「いえ、仕事なら仕方ありません」
「ありがとうございます。また連絡します」
「はい……あ、ちょっと待っていてもらえますか?」
折角作ったんだしお菓子を渡さなきゃと思い、リビングに戻るとラッピング済みのものを持って玄関に向かった。
「千晃さん、これ……作ったので休憩にでも食べてください」
「これは……?」
「クッキーとマフィンです。私が作ったんですけど……良かったら」
「ありがとうございます。休憩時間にでも食べさせていただきます」
千晃さんは丁寧にお辞儀をすると玄関から去っていった。今日暇になっちゃったなぁと思いながら私は、リビングに戻った。