エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。
◇決意


「あ、香澄さん! すみません、持ってきてもらっちゃって……」

「いえ。これがお父さんが言っていた書類ですよね」


 私は頼まれた書類をお父さんの会社である七瀬医療製品会社の本社に来ていた。

 本社に行くと、お父さんの秘書である野坂(のさか)さんが受付まで来てくれた。


「はい、ありがとうございました。助かりました……社長に会いますか?」

「いえ、大丈夫です。私がくると皆さん萎縮しちゃうので帰ります」

「そんなことないですけどね、でも香澄さんがいいなら……ありがとうございました」


 私は野坂さんにお辞儀をすると会社を出てすぐにタクシーに乗った。


「さくらファミリー総合病院までよろしくお願いします」


 今日は、千晃さんの務める病院でランチをしようという約束を彼としていた。時間は少し早いけど、病院へ向かう。

 スマホを見ると【着いたら教えて】と千晃さんから送られてきていた。私は【もうすぐ着きます】と送信してすぐに到着する。
 お金を払いタクシーを降りると、さくらファミリー総合病院と書かれた大きな建物の正面口から入って案内板を見る。



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