エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。


「放射線科……放射線、あ、あった」


 二階にあるらしくエレベーターに乗り込み放射線科に向かい、総合受付の前にあるベンチに座った。

 私は【着きました。】と打ち送信してから“放射線科総合受付”に行き声を掛ける。


「あの、千晃さん……小鳥遊千晃さんいらっしゃいますか?」

「どなた様ですか?」

「えっと、彼女です。七瀬香澄です」

「失礼ですが、そういうのは困ります。お引き取りください」


 これ、もしかして怪しまれてる?


「あ、すみません。じゃあ、あのベンチで待っていますね」

「いえ、そこは患者さんのための――」


 断られそうになり、どうしようかと考えていると「香澄さん?」と声をかけられた。振り向くと、ネイビーのスクラブを着た千晃さんがいた。


「あっ、千晃さん……ごめんなさい、こんなとこまできてしまって」

「いや、驚いたよ。だけど嬉しい」

「よかったです」


 千晃さんはとても喜んでくれて私も嬉しく感じる。



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