エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。
『……もしもし?』
「ちょっといいですか、新本さん」
『あーいいけど、どうした』
「今日、香澄に会いましたよね?」
『もしかして聞いちゃった?』
聞いちゃった? ……じゃねーよ!
「聞いたも何も、大変だったんです。あのあと、香澄は社長のとこに“何も聞いてない!”ってキレて家出したんですよ」
『え』
「え、じゃないです! まあ、俺が保護しましたけど。しかも“自分が就職する”っていい出すし……それに生き地獄です」
好きな子が、自分のベットで天使の寝顔で寝てる……手を出すな、っていう方が拷問だよ。
「……一緒に暮すことになったし」
『それはよかったな』
「良くないですよ、というかそもそも俺の意思で七瀬医療製品会社に転職することを決めたんです。強制的にとかそういうのじゃないので、止めないでください、院長にも話はつけてあります」
『強制じゃない? 聞いてないぞ』
「そりゃ、言ってないですし! 来月、ちゃんと話すつもりだったんです。迷惑をかけた先輩には、お昼に幻のメロンパンとクリームパン、奢ってくださいね」
それだけ言って電話を切ると、スマホをテーブルの上に置くとソファに座った。
「はぁー……」
明日から好きな子と一つ屋根の下……俺、大丈夫かなぁ。