エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。


「千晃様から、香澄さんに、と……」

「あ、ありがとうございます」


 私は紙袋を受け取るとリビングでそれを開けた。その中にはテレビで特集されていた断面が可愛いサンドイッチが二つ。


「美味しそう……」


 私食べていいのかな。電話した方がいいかな、いや仕事中かな……。すると、ブーブーっとスマホが震えて画面を見る。


『もしもし香澄ちゃん?』

「あ、お疲れ様です。千晃さん。あの、これ……」

『サンドイッチ届いた?』

「はい。私が食べてもいいんですか?」

『もちろん、それ新本部長からのお詫びの品だからね受け取ってね』


 お詫びの品? 昨日のことかな……気にしないでいいのに。


「新本さんにお礼言っておいてください。あの、もう気にしないでくださいとも伝えて欲しいです」

『うん、分かった。じゃあね』


 電話を切ると、一旦手を洗ってからサンドイッチのラベルを取って食べ始めた。




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