ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
克の部屋は綺麗に片付けられていた。
本棚には漫画とトロフィーが置いてある。

「綺麗だね。男の子の部屋って
もっとぐちゃぐちゃなのかと思ってた。」

「…一応、片付けたから。
適当に座ってて。お茶持ってくる。」

そう言うと克は部屋を出て行った。
1人になったら舞は、また部屋を見渡す。
机も綺麗に片付けられ、教科書も
大きさが揃えられて並んでいる。
ベッドのタオルケットも綺麗に畳まれている。

(几帳面なんだな。)

また知らない部分を見つけたみたいで
舞は嬉しくなった。

しばらくして克がお茶を持って帰ってきた。

「かぁちゃんが冷蔵庫にケーキあるからって。
後で食べような。」

「わ♡いいの?嬉しい!」

「舞が来るからって買ったらしい。
いつもは、買ってくれないのに。」

ブツブツ言う克を見て舞が笑った。

「克、可愛い。」

「可愛い?何それ。」

「やっぱり、自分家だと素の感じがみれて
嬉しい。連れてきてくれてありがとう。」

「…俺が早く紹介したかったから。
舞もありがとな。
さっきのカミカミの自己紹介。」

克が意地悪く言った。

「もぉー。
だってすっごく緊張したんだもんっ!」

克を小突く舞。
小突いた手をとる克。

「…一生懸命で可愛いかった。」

パチっと目があい、ドキッとする。
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