西岡三兄弟の異常な執着
「久しぶりだなぁ、一人で外出なんて……!」
花苗はゆっくり、駅の方に向かって歩いていた。
朱雀と駅で待ち合わせだと山田に聞いたからだ。

駅に着き、周りを見渡す花苗。
当然、朱雀はいない。

「やっぱり、朱雀に電話して━━━━」
「お姉さん、可愛いね~!」
「ほんとだ!思ってたより、美人!」
バックからスマホを取り出そうとしていた花苗。
急に知らない男性二人に声をかけられた。

「え……?な、なんですか?」
「俺達とランチしない?」
「し、しません!主人を待ってるので、失礼します!」
その場を去ろうとする花苗。
でもすかさず、男に手首を掴まれた。

「ちょっ…離して、くださ━━━━」
「いいじゃん!もちろん、奢るよ?」
この男達は、山田の知り合いで花苗を好きにしていいと言われていた。
「結構です!離して!?」
必死に掴まれた手首を離そうとするが、びくともしない。
「それ、力入れてんのぉ~?
可愛い~
てか!腕、細っ!!
いいから、こっちに━━━━━━━」
ガッ━━━━━!!!

「その人、俺の大切な人なんだよ!離してよ?」
そこに別の男が、花苗の手首を掴んでいた男の手を掴んだ。
「は?お前、誰……」
「基一くん!?」
「花苗さん、大丈夫ですか?」
基一は、朱雀の部下で信用できる右腕のような存在だ。
朱雀は花苗の話を聞いた後、黄河や真白とまた山田が花苗を外に出そうとするのではと思い、部下の基一を監視につけていた。

“万が一、花苗が一人で外に出るようなことがあれば、つけて守るように”と。

案の定……花苗は外に出てナンパされたので、助けに来たのだ。
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