西岡三兄弟の異常な執着
これでも昔は、花苗はまだ自由に外出できていた。

朱雀達三兄弟は過保護で、心配性ではあったがちゃんと事前に許可さえあれば、外に出ることはできていた。
でも前の使用人に嫉妬され、山田の時と同じように男達に声をかけられ、人気のない所へ連れていかれ男達に襲われたのだ。

それから三兄弟は、もう二度と外に出さないと言い出し、花苗は一人や三兄弟以外との外出を禁止されることになったのだ。

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「花苗様って、逆ハーレムでいいなぁ。
羨ましい!」
水樹と斉藤がその日の仕事が終了し、二人で一緒に帰路についていた。
その間、斉藤がそう言い出したのだ。

「そう?私は嫌だけど?
花苗様が、可哀想よ」
「え?」
水樹は、少し切なそうに斉藤に言った。

「だって、あの屋敷から一人では絶対出れないのよ。
しかもご主人様達がいる時は、三人から離れることさえも許されない。
特に若様には、心も身体も征服されている。
そんなの……私はごめんだわ!」

「確かにそうだけど……」
「私は花苗様がいてくれて、とても助かってる。
あの三兄弟は厳しすぎるし、恐ろしい方々だから。
花苗様がいてくれるお陰で、癒されてるし。
だからできる限り、何かできることないか考えるんだけどなかなか……」
「でも、三兄弟はどうしてあんなに花苗様を支配するようなことしてるのかな?
もちろん、大切な家族ってのがあるのはわかるんだけど……」

「そうね……」
水樹と斉藤の声が、まだ暑い夜の生ぬるい風に消えた。
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