西岡三兄弟の異常な執着
寵愛
「初めまして、野沢と申します。
よろしくお願いします」
それから三日後、新しく野沢が仕事に加わった。
それで今、使用人室で水樹達に挨拶しているところだ。

「山田さんはどうしたんですか?
三日前から全然姿が見えないですよね?」
「僕にもわかりません。
全く連絡が取れないので、野沢さんを雇いました。
最低五人いないと回らないので。
皆さんで仕事内容を教えてあげてください」
「はい…」

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「花苗、元気ないね…」
「え?そ、そうかな?」
今日は三兄弟が仕事が休みの日。
二階リビングで、いつものように団欒をしていた。

黄河は煙草を吸いながら新聞を読んでいて、朱雀は雑誌を読んでいる花苗をひたすら見つめ、時折キスをしている。
真白はソファに寝転び、スマホゲームをしていた。
なかなか雑誌のページが進まず、ボーッとしている花苗に朱雀が心配そうに話しかけた。

「山田のことだろ?」
「苗が気にすることじゃないよ」
「でも……」
「花苗?」
「もう…私、嫌!怖いの!」
思わず、雑誌を握り締めた。

「でも……ここから出さないよ?
花苗は、僕だけのモノ……」
朱雀が花苗の顔を自分の方に向かせ、口唇を寄せた。
そして頬、口唇の順になぞり言った。

「花苗は俺達の宝物なんだから、大事に、大事にこの屋敷に囲って守ってやる」
いつの間にか黄河が花苗の前のテーブルに腰かけていて、頭を撫でながら言ってきた。

「俺の大切な姉ちゃん。
苗の為なら汚ない下衆な人間なんて、いくらでも消してあげるよ」
真白も朱雀と反対側の花苗の横に座り、花苗の顔を覗き込んだ。

異常な執着を見せる、三兄弟。
花苗は三兄弟に囲われている━━━━━━
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