西岡三兄弟の異常な執着
「フフ…確かに(笑)
苗、凄いな!黄兄ちゃんに、謝らせるなんて!」
「……ったく(笑)
花苗には、敵わねぇ……」
少し張りつめていたリビング内。
三人の笑い声に、少し和んだのだった。

朱雀と紫苑が、東屋から帰ってきた。

「お待たせ~
黄兄さん、真白。
朱雀を返すよ」
「朱雀!紫苑くん」
朱雀と紫苑の元に近づく花苗。

「花苗…」
名前を呟いた朱雀は、そのまま花苗を抱き締めた。
「朱雀?」
「愛してるよ…」
「うん」
花苗も朱雀の胸に顔を擦り寄せた。

「頼むから…僕から、僕を奪わないで…」

「私ね…昔から紫苑くんのこと、大好きだったの」
「うん」
「でも、朱雀のことも大切なの。
紫苑くんとお付き合いしてる時に“花苗、僕を助けて!”“僕のお嫁さんになって!”って言って壊れてボロボロになっていく朱雀を見て、朱雀の支えになりたいと思ったの………
だから、朱雀のお嫁さんになったんだよ?
大丈夫!
放れたりしないよ!」

「うん、ありがと!花苗」
切なく、苦痛に歪ませていた朱雀。
今漸く、笑顔が戻ったのだった。


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「てか!!三兄弟!!たまには花苗ちゃんに会うの、許可してよ!!」
紫苑も加わり、五人で夕食中。
思い出したように、紫苑が声を張り上げた。

「うるせー!」
「うるさいよ!」
「ウザい!」
「ちょっ…三人共、そんな風に言わないで?」
「だよね~!酷い三兄弟だね!」

「おい!花苗を巻き込むな!」
「そうだよ、紫苑が一番…腹黒いんだから!」
「朱兄ちゃんにヤクザなんかさせたのも、実は紫苑でしょ!?
苗!騙されないで!」
「あ、バレてた……(笑)」

「フフ……」
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