西岡三兄弟の異常な執着
松久を部屋に入れた、花苗。

朱雀は眠っていた。
「あ…若様は休まれてたんですね…
申し訳ありません……!」
「いえ…朱雀が起きてたら、お話できたかわからないので良かった。
どうしたんですか?」
松久は、先程の失敗の話を花苗にしてクビになったことを伝えた。

「そう…ですか…」
花苗は悲しそうに顔を歪めた。
「花苗様!私、またここで働きたいんです!
なんとかなりませんか?
花苗様、お口添えしていただけませんか?」
「わかりました。私もできる限りの事をしたいです。
………どうするのが、いいかなぁ。
あ!明日は、出勤日ですか?」
「はい」
「明日の朝私が、松久さんがいないことを何気なく森宮さんに聞きます。きっと“クビにした”って言うと思うので、そこで黄河さんにお願いしてみますね!
今から私がお話に行ってもいいんですが、それじゃ松久さんが更に責められることになるので……」
「ありがとうございます、花苗様。
よろしくお願いします!」
松久は泣きながら、花苗に頭を下げた。


そして明朝。
花苗は、何気なく松久がいないことを森宮に聞いた。
すると黄河が“あークビにした”と答える。
「黄河さん、どうして?
もう少しチャンスを与えてあげて!」
「てか、なんで花苗は松久が今日出勤日って知ってるの?」
二人がけのダイニングベンチに座っている、朱雀と花苗。朱雀が花苗の顔を覗き込み言った。

「昨日、今日も出勤日って聞いたから」
「ふーん。でも苗、庇うことないよ。
あの女、クビになって当たり前のことしてるんだから!」
「え……?どうゆうこと?」
真白の言葉に、驚愕し黄河を見た。

「アイツは、最低な女だ」
黄河は花苗を見返し、言ったのだった。
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