西岡三兄弟の異常な執着
「はい」
「そっか……」
花苗の言葉に、森宮が答えた。

「ん?なんなの?
また僕が、何でも買ってあげるよ?」
「俺や真白も、何か贈りたいと思ってるんだ」
「苗、毎年俺達に贈り物してくれるでしょ?
だから、三人でお揃いの何か贈ろうかって兄ちゃん達と話してたんだよ!」
三兄弟も、不思議そうに花苗を見て慰める。

「違うの!
あの中に、一番大切にしてたブローチがあるはずなの……」
「「「え?」」」
「森宮さんが私の私物を持って出ていった後に、探したけどないからたぶん……」
「また、買ってあげるよ?」
朱雀が花苗の顔を覗き込んだ。

「無理だよ!
だって、あのブローチは朱雀達三人が初めてプレゼントしてくれた、三人の手作りのブローチなんだから!」

「「「花苗(苗)……」」」
「正直ね、とっても不格好なんだよ?
でも、私にとっては宝物なの。
三人が一生懸命、指に切り傷つくってまで作ってくれたブローチだから!」
花苗が三人に向き直り、微笑んで言った。

「正確には、朱雀と真白が傷つくってたんだ!
俺はそんな不器用じゃねぇ」
「えー兄さんが、一番切り傷あったよ!」
「はぁ?真白だろ?」
「違うよ!
黄兄ちゃんだよ!」
三人が言い合いになる。

「フフ…ハハハッ!!」
クスクス笑っていた花苗。
次第に声を出して笑いだした。

「花苗?」
「花苗、どうしたの?」
「苗、泣いてる?」
三人が心配そうに花苗を見た。

「だって、みんな可笑しいんだもん!
三人共、カットバン沢山貼ってたでしょ?
しかも、それを隠そうとしてたのが可愛くって(笑)!
そうゆうとこ、大好き!!」
涙を拭いながら、満面の笑みで言った花苗だった。
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