西岡三兄弟の異常な執着
「別に俺達は、杉尾を信頼してるわけじゃないぞ!
森宮並みにできるから、信用はしてるが」
「そうだよ!
それに、真白を一人になんかするわけないでしょ?」
黄河と朱雀が、それぞれ真白に言った。

「ほんとに?」
「あぁ」
「大丈夫だよ!真白」
すがるような真白の視線。
黄河と朱雀は、微笑み返事をしたのだった。

そこにノックが聞こえ、杉尾が入ってきた。
「失礼いたします。紅茶をお持ちしました」
「ありがとうございます!いい香り…!」
花苗が嬉しそうに微笑み、杉尾を見上げた。

「………苗!トランプ!しよ!」
「え?あ、うん!」
真白は花苗の気を自分に向けさせる為、花苗にわざと大きな声で声をかけ、促したのだった。

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そしてその日の夜更け。
花苗がトイレから出ると、杉尾にばったり出くわした。
「花苗様」
「あ、杉尾さん!こんな遅くまでご苦労様です」
「いえ」
「大変だと思うですが、よろしくお願いします!」
花苗は頭を下げ、その場を後にした。

「花苗様!!」
でもすぐに、呼び止められた。
「え?はい」
「花苗様はどうして、西岡家にお嫁に来られたんですか?」
「え?どうしてって……
朱雀の支えになりたいと思ったからです」

「西岡三兄弟が、最低・最悪の魔王なのを知っててですか?若様なんて“あの”西鷹組の若頭ですよ?」
「そうですが……」
「花苗様は…見たことありますか?」
「え……」
「若様の本当の姿……」
「え……?
……………杉尾さんは、知ってるんですか?朱雀の……」

「知ってますよ」
杉尾の真っ直ぐ見据える視線が、あまりにも恐ろしい。

そしてそれは、朱雀の恐ろしさを物語っていた。

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