西岡三兄弟の異常な執着
「私は本当の朱雀を知らない」
「…………本当の僕って何?」
「え?」
ゆっくり顔を上げ、朱雀を見る花苗。

「僕は、僕だよ。
そりゃあ、ヤクザ若頭だからね。
態度が変わることもあるよ。
でも…どんな僕も、僕だよ。
それに……どんな僕でも、花苗への気持ちは変わらない」
朱雀も見下ろし、花苗の目を覗き込むように思いを伝えた。
「朱雀」
「ん?」
「人を好きになるって苦しいね…」
「そうだね。僕も、毎日苦しい。
でも、幸せ!こうやって、花苗を抱き締めてると」
「心臓…壊れたりしないかな?胸の痛みで……」
「フフ…確かに」
「みんな、どうやって発散させてるんだろう。
この胸の痛み」
「んー?いっぱい話をして思いをぶつけ合ったり、キスしたり、抱き合ったり、色々あると思うよ。
少なくとも僕は、そうやって花苗に僕の愛情を伝えてるんだよ!」
頬を撫でながら、愛おしそうに語る朱雀。
「そうだね…!」
花苗も愛おしそうに微笑んだ。
「…………花苗、愛し合おうよ」
「うん…」

ベットに移動し、座っている朱雀に跨がっている花苗。花苗の口唇が朱雀の口唇や頬、鎖骨…身体に落ちていく。
「んんっ…」
「ん?朱雀、気持ちいい?」
花苗が朱雀を見上げる。
その上目遣いが、更に朱雀を興奮させ囚われていく。

「気持ちいい…ゾクゾクする……
囚われてるのは、花苗じゃなくて僕の方だ……」
「え……」
「僕に囚われて、この屋敷に閉じ込められた花苗は可哀想ってみんな言うんだけど、僕の方が可哀想だよ。
花苗に囚われて、放れられない…」

「今頃気づいたの?」
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