西岡三兄弟の異常な執着
「え?」
「捕えてるのは、私だよ?」
妖しく笑う、花苗。

カーテンの隙間から少しだけ漏れている、月明かりが花苗の妖しい微笑みを倍増させる。

「フフ…さすが、僕の女!」
花苗の頬を両手で包み、口唇を奪った朱雀だった。

それから何度も、愛し合い果てて……

「朱雀、刺青見せて?」
朱雀の腕枕で横になっていた花苗。
朱雀を見上げて言った。
「いいよ」
二人共起き上がり、朱雀が背を向けた。

「いいなぁ」
「ん?」
「三人の身体には、三人が刻み込まれてる。
そこに私はいない」
「でもピアスは、四人お揃いだよ!」
「うん。そうだよね!」

刺青の雀にキスをした花苗。
「んんっ…花苗?」
「フフ…雀にキスしてるとこ」
「えー僕にキスしてよ!」
「だから、朱雀にしてるんだよ!」
「んーまぁ、そうだろうけど……なんかやだ!」
花苗に向き直る朱雀。

「僕にして?
ほら、ここ!」
自身の口唇をトントンと指差した。
「うん…
ンンン……」
花苗は軽くするつもりだったが、朱雀がそれを許すわけがない。
花苗が口唇を離そうとすると、朱雀が追いかけてくる。
「んーー!ンン…ふぁ……」
頭も押さえつけられ貪られた。

「はぁはぁ……朱雀、苦しいよ…」
「花苗が僕に意地悪したからだよ」
「そんな…意地悪なんて……」
「でも…クセになる……花苗とのキス…
なんか、離したくないんだよね」
「そう…かな?」
「うん、花苗の口唇、気持ちいいから……」
朱雀は花苗の口唇をなぞった。

「花苗、もう一回…」
そう言って、何度も口唇を重ね貪ったのだった。
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