西岡三兄弟の異常な執着
「花苗、花苗、花苗って、やめてくれない?
君は“僕の花苗”の“ただの”同級生だよ?
百歩…いや、千歩ゆずって呼び捨て“は”許可してあげてるけど、気安く会えないんだよ?」

「………わかってます。
てか、若様はそんなに自分に自信がないんですか?
花苗を“俺に”取られるとでも?」

「は?」
理太郎の挑発的な視線。
朱雀は、フッ…と笑って理太郎を見返した。

「僕を挑発するなんて、君くらいだよ。
真白でさえも、僕を挑発するようなことビビってしないのに……!
そう思うなら、そう思ってくれて構わないよ?
とにかく、花苗には会わせない。
平和な生活の為に、僕から花苗を放さないで」

「だったら、若様も一緒に来たらどうですか?」

「はい?」
「要は、花苗と離れなきゃいいんですよね?」
「は?」
「だから、一緒ならいいんでしょ?」
「一緒じゃないとダメなのは、僕と花苗と兄さんと真白だよ。僕達は四人一緒じゃなきゃダメなんだよ?」
「どうして三兄弟は、花苗をそんなに囲うんですか?
若様はわかりますよ。夫婦なんだから。
でも、ご主人様と坊ちゃまは………」

「僕達は“特別”なんだよ」

「え?」
「まぁ…僕が花苗を放せないのは、僕の心の安定の為だけどね!
兄さんと真白にとっても花苗は、癒しの存在だし。
それに僕達三兄弟は母さんに、ある意味王族のように言い聞かせられて生きてきた。
貴方達三人は“特別”だから、三人が離れると外界の人間に汚されるって。
母さんが亡くなるまで、ずっと………
そしたらね……
少しでも兄さん達と離れると、不安になるようになったんだよ。
バカみたいな話でしょ?でも、僕達兄弟にとっては重大なことなんだよ。
兄さんや真白もそう。
特に真白は、かなり情緒不安定になるんだ。
だから━━━━諦めて?」

「そんなの…花苗が、気の毒だ……」
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