押入れから王子が出てきましたよ?
 所詮はフェルト、刺してもそんなに痛くはないようなのだが、気分的なものか、みな、紬の手術に怯えていた。

「では、出陣じゃっ」
と言う王子の掛け声に、おうーっ、とみなは声を張り上げ、出て行った。

 紬の横に残ったのは、何故か将軍だった。

「将軍、戦わないんですか?」

「私が出て、王子が後方で控えるはずだったのですが。
 あのように血気盛んな方なので」

「そうなんですか。
 ……ところで」
と言いかけた紬の言葉を遮るように、

「王子はほんとに格好いいですよ。
 男の私でも、惚れ惚れするほどです」
と将軍は言ってくる。

「いや、それを訊きたかったわけじゃ……

 ……そうなんですか?」
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