腹黒天才ドクターは私の身体を隅々まで知っている。

美怜

ガチャリとドアから音がして、私は反射的にそちらを見る。

「ね、ねぇ……今……」

私の胸に顔を寄せていた柊真に声をかける。彼も気付いたようで、いつもは憎たらしいくらい釣り上げている口角を渋く歪めていた。

「はぁ……まったく。すみませんが、今日は……」

「分かってるわよ。むしろ邪魔しちゃったわね、ごめんなさい」

私は素早く服を身につけ、髪を整えるとバッグを肩にかける。

「貴女が謝ることはありませんよ。この埋め合わせは後日」

「ええ、期待しないで待ってるわ」





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