腹黒天才ドクターは私の身体を隅々まで知っている。
「ええ、最高ですよ彼女は。感度も良くてキスだけでほら、こんなにトロトロになって……。それなのに貴方が下手くそ過ぎてやる気なくなっちゃったんですって。おかげで私は聖南が手に入りました。まぁ下手くそな貴方には勿体ないですもんね。手放していただいてありがとうございます」

「なっ……」

絶句する航大に背を向け、私を抱きあげて鷹峯さんは自分の部屋に向かう。

「あ、この後も私達はお楽しみの予定なので……これ以上、邪魔しないでくれますよね?」

「……っ」

最後まで相手を煽ることを忘れないその精神。何と言うか鷹峯さんらしくて、私は場違いにも格好良いな、なんて思ってしまう。

航大が何も言えないでいる間に、鷹峯さんは私を抱いたまま部屋のドアを開けた。


< 92 / 110 >

この作品をシェア

pagetop