ファーストソング
近づくにつれて確信する。

やっぱりそうだ…!
この歌い方、歌声、俺の大好きなネットシンガーの『フユ』だ!!

自分の耳がいい事をこんなに褒めたたえられる日はない!

思いっきり病室の扉を開ける。
━ドンッ。と凄い音がなったのは気にならなかった。
だって目の前に俺の憧れの『フユ』さんがいる。それだけでいっぱいいっぱいだった。

こちらを振り向く彼女を見る。

ボブくらいのショートの髪。
あまり外には出ないのだろう、色白の肌が夕日に照らされて赤く染まっていた。

可愛らしい顔立ちも、その儚さも全て彼女の魅力だ。

この人が『フユ』そう思うと、鼓動が高まる。

でもまずは確認しないとっ!
そう思い「アンタ、まさか『フユ』ッスか!!?」と彼女に聞く。

思ったより大きい声になったのは、緊張からなのか、興奮からなのか分からない。


「な、なんで?」


驚愕しながら話してくる彼女を見て、やっぱりこの人が『フユ』だ!!
そう思ったら興奮と欲望が抑えきれなくなった。

今ならこの人にお願い出来る。

俺の夢を実現出来る。


「あ、あの!!『フユ』さん!俺の為に曲を書いてください!!!」


そう思ったらつい願望が口からでていた。
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