ファーストソング
第二章 春分、冬と夏の交流 ━ 夏輝side
弟が食中毒になって、病院に運ばれた。
幸い本人はケロっとしていて安心したが、念の為1日入院することになった。

俺は弟の着替えや貴重品などをもってきて再度病室に入り弟に手渡した。


「ありがとう。兄さん。」
「お前が無事で安心したわ。無理すんなよ。」
「うん。」
「あと腐ってるものは食うな。」
「分かってるよ。今回は運が悪かっただけ。」
「夜になったら、父さんと母さんも来れるから。それまで安静にしてろよ?」
「分かってる。」


そう言うと、弟は俺が持ってきた荷物から勉強道具を取り出し勉強し始めた。
弟は俺と同じで今年から受験。行きたい高校も決まっているみたいだし、その為に勉強付けの毎日だ。

出来の悪い俺は邪魔しちゃ悪いと思い、病室を後にする。

しばらく廊下を歩いていると、聞き覚えのある歌声が聞こえてきた。

━♬

「あれ?この声って…。」

気づいたら体は走り出していた。
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