ファーストソング
全員が席に座ったことを確認しつつ、俺もスープとご飯をもって席に座る。
よし全員いるな。


「ほい。手合わせてー!」
「「「「「「いただきます」」」」」」


全員でいただきますを言う。
それがこの家での決まり。

父さんと母さんは下で定食屋を経営している。
だから夕飯のこの時間は俺達しかいないのだ。
最近までは和真と俺のどちらかが料理を作っていたが、和真も俺も受験生になってからほとんど毎日両親が夕飯を作り置きしてくれていた。

けど両親だって完璧なわけじゃない。
寝坊もすれば、定食屋が忙しくて俺達に手が回らないときもある。

そういう日は大抵俺が作ることになっている。

理由は簡単。
俺よりも和真の受験の方が大事だから。

そして親は俺が就職すると思っている。


だからこそ夢を打ち明けることが出来ない。
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