ファーストソング
彼に羨ましいという気持ちが芽生える。

そんな気持ちを抱く事への自己嫌悪。
もう諦めたと思ったのに、まだ希望を持ってるのか。

いい加減捨てなよ。

私に希望なんて文字は似合わない。


「それでこれ、俺が去年の文化祭で歌った曲!聞いて欲しい。」


そうCDを差し出す彼は少し緊張しているようだった。


「今時CD?」
「あのね、学校の規定は結構メンドクサイんだぞ?」
「スマホにおとせばよかったじゃん。」
「…やり方が分からない。」
「嘘でしょ?」
「大真面目です。」
「えっとパソコンもってる?」
「家族共有の奴なら。」
「ならそれで出来るから、スマホにおとしてきてよ。ここにCDデッキなんてないから聞けない。」


そうやって事実を教えると、彼はCDデッキの事を考えていなかったのかショックをうけている。
というかしょんびりしている?

そのまま今日はお開きになり、彼はトボトボと帰っていった。

今日は怒られる事なさそうだなと思っていたけど、「前見て歩いてください!!」と怒られていた。
病院との相性最悪だな。
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