幼馴染 × 社長 × スパダリ

今日は、涼ちゃんの車で出かけるようだ。
駐車場で車のエンジンを掛けながら、涼ちゃんは私に呼び掛けた。

「そんなところに立ってないで早く乗ってくれ。出発するぞ。」

私は車の助手席に座った。

膝を曲げたせいか、先程転んだ脚がズキッとする。
「…い…いたっ…」

その様子に、涼ちゃんは気づいたようだ。

「萌絵、どうした?」

これ以上、心配をかけたくない私は、笑顔で返事をする。

「…ハハハッ…ちょっと慌てて転んじゃって…そそっかしいよね…」

涼ちゃんは黙ってジッと私を見た。
何かを探るような瞳は私の嘘を見透かしているようだ。

「萌絵、…会社の誰かにやられたのか…」

「…ち…違うよ…私が…」

涼ちゃんは私の頭に手を置いた。
そして髪をクシャっとするように頭を撫でた。

「何かあれば、俺に言ってくれよな…」

「…うん。ありがとう。」

私は努めて笑顔で返事をした。
涼ちゃんに迷惑をかけたくない。

(…ガンバレ私、これぐらい大丈夫…)


涼ちゃんの運転する車に乗ったのは初めてだ。
チラリと涼ちゃんの顔を見る。
運転する姿もすごく素敵だ。
端正な横顔は、綺麗なシルエットを描いている。

長い睫毛や形よく高い鼻、少し薄めの唇。
瞳は光が当たっているからなのか、少しブラウンで透明感がある。


(…涼ちゃんの顔…綺麗だな…)

思わずジッと見つめていたらしい。

「萌絵、俺の顔を見て楽しいか?なんか見られすぎて、穴が開きそうなんだけど…」

「…ご…ごめんなさい…」

ジッと見惚れていたなんて、自分が恥ずかしくなる。


< 13 / 71 >

この作品をシェア

pagetop