Tear Flowes〜絶望の向こう岸〜
最終決戦
特殊捜査チームのメンバー、フィオナ・カモミールは怒りを全身に表しながら走る。顔には熱が集まって赤くなり、目はつり上がり、まるで鬼のようだった。

「許せない……マーティー・ブラックローズ!」

思い出されるのは、家族を失って暗闇に突如突き落とされた時のこと、大切な仲間であったシオン・アカツキが狙撃されて命を失った時のこと、そして拷問を受けて傷付けられて病院に搬送されたエヴァン・カランコエのことだ。

「殺してやる!」

フィオナは拳を痛くなるほど握り締める。怒りで息の仕方を忘れ、何度か苦しくなって足が止まってしまった。

フィオナが走って向かっているのは、黒いバラの花びら事件を手引きしていたマーティーがいる場所だ。何故場所がわかるかと言うと、レイモンド・アルストロメリアに見せられたモールス符号の書かれた紙である。

その場にいたレイモンドにサルビア・ホープ、レティシア・エーデルワイスはモールス符号を解読できなかった。しかし、フィオナはそこに何が書いてあるのかわかったのだ。
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