Tear Flowes〜絶望の向こう岸〜
「あなたを殺したマーティー・ブラックローズは逮捕されました。最悪な犯罪者がいなくなり、今はとても平穏な日々を過ごせています。とても幸せです。でも、だからこそ、あなたにもこの平穏になった世界を見てほしかった……!」

守れなくて、ごめんなさい。そう言いながらフィオナは泣き崩れる。その肩をエヴァンが抱き締め、優しく撫でる。

「あなたを守りたかった……。あなたにも生きてほしかった……。幸せに、なってほしかった……」

フィオナは涙を乱暴に拭う。それを見て、エヴァンが口を開いた。

「フィオナは優しいね。ずっとシオンさんのことを考えて、後悔していたんだね。その後悔や想いは、その人のことをそれだけ好きだった証なんだ。僕は、そんな人を好きになれて本当に嬉しいよ」

エヴァンに優しく口付けられ、フィオナの涙が止まる。エヴァンに優しく涙を拭われ、彼の温もりに触れた時、胸がギュッと音を立てた。想いがあふれていく。

エヴァンがずっとフィオナを想って愛を知ったように、フィオナも少しずつ学んでいったのだ。エヴァンに「愛してる」と言われたあの日から……。
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