無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜

「和泉くん?」



なぜか息を切らした和泉くんが現れたことに、私は驚いて呆然とした。

ど、どうしてここに……?



「部活ちょっと早く終わったんです。リナ先輩から静香先輩が図書委員で残ってるって聞いて、一緒に帰れたらって……」



和泉くんはそこまで言って、ハッとした表情になる。

そして段々眉の両端が下がっていき、申し訳なさそうに歪められた。



「なんか俺、必死ですよね……。急に来てすみません……」




私が迷惑がると思ったのか、和泉くんの言葉に慌てて否定を入れた。



「わ、私も、一緒に帰りたいです……!」



迷惑なんて思わない。

むしろ……和泉くんが迎えに来てくれるなんて、夢見たい……。


噛みしめるように、持っていた本をぎゅっと抱きしめた。


私の言葉に、和泉くんは安心したように笑みをこぼす。



「ありがとうございます。……じゃあ、帰りましょう。もう終わりですか?」

「は、はいっ……すぐ終わります!」



私は残っていた作業を急いで終わらせて、和泉くんと一緒に図書室を出た。


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