離婚するので、どうぞお構いなく~冷徹御曹司が激甘パパになるまで~
 パジャマのボタンをはずしてキャミソールを捲り、お腹に優しく唇で触れる。徐々に上へと移動しながら、ホックを外した。
 直接舌で触れると、花音は小さく甘い声を出す。
「れ、黎人さん……」
「花音、少し腰浮かせられるか」
 素直に従う花音の腰の下に手を忍ばせて、俺はそのままグッと抱き起こした。
 胸を隠しながら、きゃっと小さく声を上げる花音。
 起き上がった花音とは逆に、俺はそのままベッドへ体を沈める。
 必然的に上に乗っかった状態になる花音を、俺は余裕の笑みで見つめながら、胸を隠している彼女の腕を除けた。
「いい眺めだ」
「れ、黎人さん、この体勢恥ずかしいです……っ」
「そう、わざと恥ずかしくしてる」
「な、何でそんないじわるを……」
「花音」
 俺は今度は花音の腕をグイッと引っ張って、後頭部に手を回してキスをする。
 もう片方の手で花音の柔らかい場所を愛撫しながら、上手く息が出来なくなっている彼女に容赦なく舌を絡める。
「んっ……、黎人さん、もう無理ですっ……」
「ダメだ。俺がいない間もこの感覚を思い出せるように、花音の体に刻む必要がある」
「んんっ……」
「全然足りない。花音が、もっともっと欲しい……」
 会えなくなる時間を埋めるように、俺は少し強引に花音の体を奪った。
 肌にかかる熱い吐息も、混ざりあうような体温も、どんどん激しくなっていく鼓動も、全部全部俺のものだ。
 生涯、誰にも、渡さない――。
 溢れ出る独占欲に駆られた俺は、欲望のままに今度は花音を組み敷く。
 彼女は熱っぽい表情のまま俺のことを見上げ、呼吸を乱している。
「黎人さん、私もうっ……」
「全部俺に預けろ、花音」
 俺は彼女の熱を全て奪うかのように、体を重ねた。
 ひとつになった瞬間、脳が麻痺するかのような甘い感覚に襲われる。
 腕の中で何度も俺の名前を呼ぶ花音が愛おしくて、壊してしまいそうになった。
「花音、愛してる……」
 遠く離れても、今度は大丈夫。
 俺たちは、きっとお互いを信じあえる。
 本当の自分を、知ってもらえたから。
 本音は、花のように美しく気高い花音を、いつまでも自分の腕の中に閉じ込めておいてしまいたい。
 けれど、強い彼女は、そんなことは望んでいないから。
「私も愛してます、黎人さん」
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