妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
具合の悪い彼の父親は見合いの席には同席しなかった。
代わりに彼の秘書・間宮諒(マミヤリョウ)さんが同席した。

見合いと言っても、結婚は決定している。
披露宴の会場となる場所は『オリエンタルオーシャン』所有となった豪華客船『ブルーラグーン』号。
日取りはさ来月の五月十四日。
そのまま私と凪良社長は乗船して、アメリカ西海岸へとハネムーン。
私達はフレンチのランチコースを食しながら結婚披露宴の具体的な話を進める。

見合い写真で拝見したよりも精悍な顔立ちの凪良社長。見ようによって強面に映り、怖い印象を受ける。優男の正史さんとは全く逆のタイプ。

でも、指は長くキレイで、ナイフとフォークを使う手つきはとても上品で優雅だった。

「食が進んでいないようですね…美晴さん」

「へっ!?」

「嫌だわ…美晴」

凪良社長に名前を呼ばれ、動揺して奇妙な声が出た。
その声を訊き、お母さんは笑う。

凪良社長もクスッと口許を綻ばせた。

「すいません…」

「いいんですよ…」


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