妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
横浜港に停泊中のセレブ船『ブルーラグーン』号。

白亜のお城のような優美な船体。
眩い光に包まれ、宵闇色に染まった海上を煌々と輝かせていた。
今宵は船内で一番広いホールで『スコール』のファッションショーが開催される。

私と匡貴さんも招待されていた。

乗船する際の出入口付近には警備の人達が居て、金属探知機やボディスキャナーを使用した手荷物検査が入念に行われていた。

「何かあるんですか?」

「まぁな…」

匡貴さんは曖昧な返事をした。

「凪良社長」

警備担当の一人が匡貴さんを見て、軽く会釈する。

「伊集院刑事…」

伊集院!?

政治家の名家・伊集院家の人だった。

「へぇー…君が凪良社長の…初めまして…奥さん…俺は警視庁刑事部捜査一課の伊集院翔(イジュウインカケル)です…」


「初めまして…妻の美晴です…よろしくお願いします」

「…あ…伊集院刑事…妻は妊娠中だから…金属探知機は勘弁してくれ」

「分かっていますよ…お二人は顔パスなので…通っていいですよ…」

伊集院刑事は笑顔で私達を通してくれた。





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