妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
「行くぞ…美晴」

「あ…はい…」

彼は私の肩を抱き、船内へとエスコートしていく。

金属探知機やボディスキャナーで、奇形や流産の悪影響はないはずなのに、匡貴さんは本当に身重の私に過剰なぐらい気を遣う。

彼に気遣われる度に私の罪の意識が深くなっていた。

「凄い…」

豪華絢爛なアトリウムに思わず、ポカンと口が開いてしまった。

「美晴…口が開いてるぞ…」

「あ…すいません…」

「まぁー・・・いい・・・挙式当日にそんな顔をされたら…困るが…今はいいぞ…存分に楽しむといい・・・あ・・・気分が悪くなったら・・・我慢せずに言うんだ・・・いいなっ。美晴」

「…社長に美晴様・・・」

秘書の間宮さんは先に船内に居て、私達を待っていた。

「間宮か・・・俺は氷室社長と話をするから…間宮…美晴を席に案内してやってくれ」

「承知しました…では、美晴様…俺が御席までご案内します」

私は匡貴さんと別れた。

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