王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
「承知いたしました」
うん、と僅かにうなずいた王太子殿下は、シルディーヌに向けてにこっと微笑む。
「シルディーヌ、今日は災難だったね。だが、団長が剣を捨てなかったのは、君のためだよ。傷付かなくてもいいんだ」
「……はい?」
「ああそうだ、団長、例のことは私に任せてくれたまえ。君にやらせると、王宮殿から侍女が根こそぎ消えてしまいそうだからね」
「は、お任せいたします」
「じゃあ私は戻るよ」
手をひらっと振って、王太子殿下は従者を伴って去っていく。入れ替わるように、フリードが戻ってきた。
二言三言会話を交わした後振り向いたアルフレッドに、「団長部屋で休んでろ」と言われて部屋に入れられた。
そこでアルフレッドが戻ってこないまま夕食を済ませることになり、もそもそとひとりで食べたシルディーヌは猛烈な睡魔に襲われ、ころんとソファに横たわった。
夢うつつに、「お前が傷をつけられたら、相手が誰でも、例え国であっても、俺は必ず報復してやる」という、少しゾッとする言葉を聞いたのだった。