王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
「そうですか。彼女たちは人を雇ってシルディーヌの近辺を探らせたり、シルディーヌにパレードの進行を邪魔させようと計画したそうです」
「そんな、ひどいわ。どうしてそんなことを?」
キャンディが悲鳴のような声を上げた。
「ヘンリエッタ以下数名は、シルディーヌに個人的な恨みを募らせていました」
「シルディーヌは、あの方たちになにも悪いことしてません! 理不尽です!」
ペペロネはシルディーヌのかわりに怒ってくれる。彼女たちはシルディーヌに巻き込まれたようなものなのに、ほんとうにありがたい友人たちだ。
シルディーヌは胸が熱くなるのを覚えた。
「その通りです、ペペロネ。ですから、彼女たちは王太子殿下より、王宮追放処分を下されました」
「まあ、王太子殿下が……?」と、キャンディが目を丸くして驚き、ペペロネは「それでは厳しい処分ですね……」と呆けたように呟いた。
王太子殿下からの追放処分なので、彼女らは王宮侍女に戻ることは難しいばかりでなく、悪評がついてまわるため、この先いい縁談も望めない。