クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
ふと、外を見ると、高層マンションらしく眼下にイルミネーションが見えた。
梓は思わす窓際に立った。航がそれに続く。
「ここから見ると、きれいね…。」
「クリスマスシーズンだから。美晴にニューヨークのツリーを見せたいよ。」
「えっ?アメリカに帰るの?」
「いや、断ったんだ。」
「断るって…仕事を?」
何よりも仕事を大切にしてきた人が断る理由がわからない。
あっさりと告げる航に、梓の方が驚いていた。
「この前、急に帰国しろって言われてたんだが、断ったよ。」
「あ、結論を出さなきゃいけない案件ってその事だったの?」
「そうだ。断った以上、今の会社でこれからどうなるか…。」
「大切なお仕事だったんじゃないの?」
「今の俺には、梓と美晴の方が大切なんだ。」
「航…。」
「昔のように名前で呼んでくれるようになったね。」
「あ…いつの間にか戻っていたわ…。」
「嬉しいよ。」
並んでイルミネーションを見ていたが、航はそっと梓の腰を抱き寄せた。
「さて…今の仕事を続けられるのか、クビを言い渡されるのか…。」
「私達の為に…いいの?あなたは仕事が生きがいなのに。」
「構わないさ。どうなっても、君との結婚は諦めないよ。梓も覚悟を決めてくれ。」
「ええ、もう覚悟は出来てるわ。」
20代の頃とは違う。母は強いのだ。無職の夫でも支えてみせる。
「君に養ってもらうかもしれないな。」
梓の心を読んだように航がポロリと言った。
離婚した当時のやり取りを思い出したのだろう、苦笑していた。