クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「お願いだから、竹本君達を責めないでね。
あなたには絶対に言わない様に頼んだのは私なの。」
「それも含めて、土曜日に話そう…。」
「ええ、土曜日に。」
航はもう一度美晴の寝顔を見て、ゆっくり玄関へ向かい
静に梓の部屋から出て行った。
美晴を起こして、着替えさせようと思いながら
梓は中々動き出せなかった。
娘が眠っている静かな時間に、ゆっくり航の言葉を考えたかったのだ。
『待ってる…。』
航に言われて、梓はドキッとした。もう何年も男性から言われた事のない言葉だ。
だが、久しぶりに聞いたセリフの相手は離婚した夫。
しかも、娘の存在をいきなり突き付けられて、怒りに震えている人だ。
『親権を問われるかもしれない…。』
土曜日、どんな話になるか先が見えない。
ただ、梓は美晴を手離す気は無かった。
もしも航が、美晴が欲しいと言うなら闘うまでだ。
『負けはしない…。』
あの日、子供を作らなくて良かったと言った航に美晴は渡さない。
渡す訳にはいかないのだ。