クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!


土曜日までの三日間はノロノロと過ぎていった。

無邪気な美晴の顔を見ると、何故か泣きそうになる。
離婚してからの10年は、この子の成長とともにあったのだ。

2800グラムと少し小さめに生まれたので、
何とか母乳をひと口でも多く含ませようと必死になった事。

出生届を出すとき、『非嫡出子』欄にチェックを入れる時の喪失感。

それから…幼稚園の入園式、小学校の入学式を迎えるまでの
怒涛の日々が思い出される。

両親や兄に助けられながら、とにかく必死だった。
兄の結婚が遅かったのも、自分が迷惑をかけたからだと梓は思っている。

『航がいてくれたら…』

美晴が病気の時、仕事が上手く行かなかった時…
これまで何度も存在を求めたくなった日があった。

自分の何がいけなかったのか、美晴を寝かしつけながら泣いた夜もあった。

でも、それを乗り越えて10年経ったのだ。

『もう、泣かない。』

しっかりと前を向いた今の姿で、彼の前に立っていたい。




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