図書館司書に溺愛を捧ぐ
「俺は紗夜ちゃんをいつまでも好きでいるって覚えていて」

そういい抱きしめられた手に力が入る。
彼の胸でどれだけ泣いたのだろう。
嗚咽してしまうが基紀さんの手は緩まることなくぎゅっと抱きしめられている。
耳元で基紀さんの吐息がかかる。
ふと気がつくと基紀さんの手はギュッと私を抱きしめていたけれど震えているように思う。

「俺は紗夜ちゃんをいつでもどこでも応援してるから」

基紀さんの胸の中で私は頷く。
すると手が緩み、胸の中から抜けてしまった。
急に心細くなった。でもここでまた抱きついては私の弱さになる。グッと手を強く握りしめた。

「家までは送らせて、友人として」

私は頷いた。
帰りの車は無言で、基紀さんも話しかけてくることはなかった。
私も話しかけられることはなく沈黙が続いた。

家の前まではあっという間だった。

車のドアを開け降りたところで振り返りバッグから手作りのビスコッティを取り出した。
今朝はこんな結末になるとは思ってもいなくて基紀さんにあげられるとウキウキした気分で作っていた。
それなのに今はこんな気持ちで渡すことになるなんてなんだか切ない。
でも持ち帰って家でこれを見たらもっと悲しくなると思った。
基紀さんには迷惑かもしれないけれど、基紀さんのためだけに作ったから渡したかった。

「基紀さんのためだけに作りました。受け取ってもらえますか?」

私の顔を見つめ笑った顔を見せてくれた。
今日1番の笑顔だった。

「もちろん」

手渡すことができて良かった。
私は車から降り、家に入った。
基紀さんは相変わらず私が家に入るまで見届けてくれた。
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