苺にはもうなれない
「一般女性」ということは。


出会っていたら、私にだってチャンスはあったのかもしれないのに。


今をときめく若手女優でもなく。

アイドル歌手でもなく。


「一般女性」なんだもん。








ため息をついて、スマートフォンを充電しつつ、私は部屋を片付けることにした。



立ち上がり、散乱していた洋服の中から洗濯しやすい洋服を選び、着替える。




長袖のTシャツに、よく分からないメーカーのジャージの上下を合わせる。







オシャレとは程遠い自分にうんざりしつつ、なんとか片付け始める。






眠る場所はキレイにしておかないと。

そう思って、まずベッド周辺を片付けた。

本は小説、マンガ、教科書など、ジャンル分けして重ねていく。


洋服も一着ずつ畳んで、重ねていく。





しばらく無言で作業をしていた。




……ピンポーン。



インターホンの音。



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