苺にはもうなれない
玄関に恐る恐る近づく。


日向かな?


ドアノブに手をかけた。



その時。






「透子、いるんだろ?」

……!!


鈴井くん!?




こんな朝早くに、連絡も無しに来るなんて。



さすが自分勝手な鈴井くんだ。





いつだって私の都合なんか無視なんだ。








私は居留守を決めた。




無言のまま、じっと彼が帰ることを願って動かなかった。




「透子、お願いだから、開けてよ」



ドアをコンコンと、小さく鈴井くんがノックした。



それまで「しんっ」としていたのに。



悪いタイミングで、積み上げていた洋服がバランスを崩して。


隣に積み上げていたマンガにぶつかった。



バサバサッと派手な音を立てて、マンガと洋服が散らかる。




「居留守とか、本当やめて」


音が聞こえたのか、鈴井くんがイライラした声を出した。


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