苺にはもうなれない
「何ー、散らかってるじゃん。珍しいー」


鈴井くんはズカズカと部屋に入っていく。


脱いだ靴もそのまま。





「オレと別れるかもって、荒れてたんだ?」


自信満々に、ニッコリして私を見る。




「あはっ」


思わず笑ってしまった。





「あはははっ!」






鈴井くんは私の態度に腹が立ったみたいで、
「何か可笑しい?突然笑われても気持ち悪いし」
と冷たく言った。




それでも、すぐにニッコリして。

私にこう言った。



「……あの子とは、付き合わないから安心してよ」




「えっ?」




「安心して。オレ、これからも透子のそばにいてあげるから」







そう言って、鈴井くんは私に近寄ってくる。



私は無意識に一歩、下がってしまった。




「は?」



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