苺にはもうなれない
「オレの話、聞いてよ。ちゃんと分かるように説明するから」
鈴井くんの言葉に、カチンとくる。
どうしていつも、私が聞かなくちゃいけないんだろう?
気持ち良くペラペラ話す鈴井くんの顔なんて、もう見たくないんだけど。
「ほんと、最低っ」
思わず声が出てしまった。
「やっぱり居るんじゃん」
鈴井くんがため息をつく。
私は勢いよくドアを開けて、
「帰ってくれない!?迷惑だから!」
と、怒鳴った。
鈴井くんと目が合う。
「え?透子?」
私を見て、困惑したような顔をした鈴井くんは、それでもすぐにニッコリした。
「そっか、普段はジャージなんだ?いつもキレイな恰好してるから、知らなかったけど」
「どんな透子でも、透子には変わりないよね」とでも言いたい感じの鈴井くん。
……悪いけど、なんにも響かないから。
冷めた気持ちで、
「とりあえず入れば?」
と、ドアを大きく開けた。
玄関先で話し合うなんて、近所迷惑だし。
……ま、昨日に泣き叫んでいた私が言うことじゃないけど。