winter love
しばらくすると、彼が帰ってきた。

「ただいま。」

「お帰りなさい。」

「準備できた?」

「はい!」

「じゃあ行こっか!」

念のため、車では後部座席に座った。
彼もメガネと帽子で変装して、なるべく目立たないようにしてる。


「ここだよね?」

「はい。ありがとうございます。行ってきます。」

「俺も行くよ。荷物運ぶの手伝うよ。」

「大丈夫ですよ。」

「いいから!はい、行くよ!」

「なんか久しぶりの我が家な気がする。」

「お邪魔します。
ここはいつからすんでるの?」

「就職してからなので、2年前ですね。それまでは、大学の近くの寮に住んでて。」

「そうなんだ。この人たちは?」

「母と弟です。父は弟が生まれてすぐに、事故で亡くなって。それ以来、3人で暮らしてきました。母にはあまり苦労かけたくなくて、辛い時も中々言えなくて。我慢する癖がついちゃって。」

「俺には甘えていいから。
あっ、ごめん。いきなり。や、でも、近くに頼れる家族もお互いいないし、助け合おう!って言うか、何と言うか・・・」

「うふふ!ありがとうございます。嬉しいです。」

「荷物は、これで十分かな?」

「少ないね。」

「必要最低限は持ちました!」

「そっか。じゃあ、行くか!」

「はい。」
< 13 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop