地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。
「…な、んで?」
なんで?あんなことがあった後で馴れ馴れしく呼べって言うの?
「…真彩に会ってないときに考えたんだ。」
神谷くんは私の手を握ってきた。
っ!や…やだ…
「俺…本当はお前のこと──」
神谷くんが何か言おうとしたときだった。
屋上のドアがタイミングよく開いた。
「…何やってんの?」
そこに居たのは同じ学年の華杉 時雨くんだった。華杉くんは隣のクラスの男子で強くてイケメンでかっこいいと評判の人だ。
そんな人がなんで…こんな人が来ないような所に?
神谷くんも驚いたようだったが何事もなかったかのように落ち着いた表情に戻った。
「今、取り込み中だから察してくれない?」
そう言って私の肩を抱いてきた。
「っ!い、嫌だ…」
すっごく気持ち悪い…
「全く…真彩は照れ屋なんだから。」
そう言って耳元で呟いてきた。
っ!……怖い…
私の目に涙が浮かぶと…
「……真彩?…お前、名前は?」
私の名前に聞き覚えがあったのが華杉くんは聞いてきた。
「み、水無瀬です。水無瀬 真彩…」
そう言うと華杉くんは少し驚いた顔をした。
私の名前が何?
私が困惑していると
「おい。お前。」
華杉くんは神谷くんに向かって低い声で呼びかけた。
っ!…私に言われてないって分かってるけどちょっと怖いな…。