地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。

真彩と時雨

【時雨side】

……はぁ…

俺は今、屋上で考え事をしていた。

考えていることは先日の電話のことだ。

真彩に電話を掛けたら何故があいつの声が聞こえた。

あいつが真彩とどういう関係なのか。どうして真彩のスマホからあいつの声が聞こえたのか。

考えても何も分からなかった。

だが、一つだけ嫌な仮説を考えた。

それはあいつが真彩の婚約者ということだ。

八坂 瑠斗。八坂家の跡取り息子。地位も真彩の父の会社と互角。婚約もあり得ないことではない。

やっと…俺のものに出来ると思ったのに。

俺がなぜこんなに真彩にこだわるのか…。

それは少し前の話。

俺が高校1年に上がったばかりの頃。俺は華杉家の息子としてよく不良に絡まれていた。

まあ、カツアゲだな。

俺は誰にもなめられないように鍛えていたため、誰にも負けなかった。

だが、あるとき。俺が倒した奴らが手を組んでリンチしてきた。

流石の俺も人数で圧倒されて怪我を負った。

その時、助けてくれたのが真彩だった。

『あ、あの…。大丈夫ですか?』

『……』

最初は俺と俺の家に媚びろうとしてる奴なのかと思って無視をしていた。

『…っ!怪我が…。』

真彩は俺の怪我を見て顔を歪めた。

こいつ…本気で心配してるのか?

俺は少しだけ試すことにした。

『わ、るいが助けてくれ…。保健室まで…連れて行ってくれ…。』

もしここで俺に色目でも使ってらすぐに殴ろう。

そう思っていた。

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