地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。


『な、何言ってるんですか!?そんな怪我で歩こうとしないでください!保険医の人呼んできますから!』

……はぁ?演技なのか?

そう疑ったが真彩の目が必死で俺は真彩のことを信じた。

すると数分後に保険医の奴だけが急いできた。

『凄い怪我…。救急車呼ぶから待ってろ。』

『あの、女は?』

『ああ。水無瀬さんのことか?』

み…なせ。

『あの子ならお前のこと気遣って帰ったぞ。』

気遣った?どういうことだ?

『あんまり人が居たらうるさいだろうし何も出来ないからってさ。』

っ…。

俺はその時初めて人に興味を持った。

その頃から俺は水無瀬のことを目で追っていた。

少しずつ…少しずつ惹かれていった。

でも、その時には真彩には他に好きな奴がいた。

諦めようと思った。何度も何度も。でも、諦めきれなかった。

気づいたときには引き返すことなんて出来ないほど惚れていた。

そして片想いのまま高校2年になったときだった。

屋上で真彩と真彩の好きな奴が話しているところに遭遇した。

なぜが真彩がメガネを付けていなかったけど気にならなかった。

なぜなら二人の様子を見ていると真彩の様子がおかしかったからだ。

あいつに触られて顔が真っ青になっているし、嫌と言っていた。

俺は真彩に近づけるチャンスだと思い、真彩を屋上から出してあいつと話をした。

『お前、真彩の何だっけ?幼馴染み?』

『…だ、だからなんなんだよ!』

幼馴染みは怯えながらも反抗していた。

『真彩のこと…好きじゃないのに近づくな。』

これは賭けだった。

実際はどうなのか知らないが真彩の反応とこいつの態度からしてメガネを取った真彩に惚れたんだろうと思った。

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