俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
誰よりもあなたを幸せにしたい

 ──かすかに誰かの話し声が聞こえてうっすら瞼を開けると、薄暗い病室の天井が映った。

 そういえば、眩しい光は血圧に影響するから、部屋をなるべく暗くして安静にするように言われたんだっけ……と、産婦人科の女性医師の話をぼんやり思い出す。

『よかったわね、栄先生が早くに気づいてくれて。遅かったら、あなたも赤ちゃんも危なかったわよ』という言葉も。

 あれからすぐに診てもらうことができて、即管理入院となった。頭痛やめまいはやはり妊娠高血圧症の症状だったらしく、処置を受けるのが早かったおかげで大事には至らずに済んだ。

 重度の場合はすぐに分娩しなければならないが、赤ちゃんの状態にも大きな問題はないので、血圧をコントロールしながらできる限り出産を遅らせることができるそう。

 いきなり入院することになって、律貴にも職場にも迷惑をかけてしまうのが申し訳ない。でもとにかく赤ちゃんに何事もなくてよかったし、あまり動けないのはつらいけれど、私たちの命のためだと思えば耐えられる。

 危険な状態だと知らされたときはものすごく不安だったのに、薬を服用して赤ちゃんも無事だとわかったら眠ってしまった……。図太いな、私。
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