俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~
でも、私たちはこのために結婚したのだから勇気を出さないと。彼のご両親だって心待ちにしているのだし。
カレンダーを見つめたまま、数カ月前に栄家にご挨拶しに行ったときの記憶を蘇らせる。
律貴には五歳離れた妹の深月ちゃんがいる。律貴に電話がかかってきて席を外した際に、彼女はテーブルに身を乗り出す勢いで突然お礼を口にした。
『より子さん、お兄ちゃんと結婚してくれてありがとう! 私の代わりに、お父さんたちに孫の顔を見せてあげてね』
ワンカールのボブの髪が可愛らしく、律貴に似た目を細めて笑う深月ちゃんは、私たちの結婚をとても喜んでいた。
その理由は、単純に義姉ができて嬉しいというのがひとつ。もうひとつは、深月ちゃんにとっては難しいご両親の願いを、代わりに私が叶えてあげられそうだから。
キャリアウーマンの彼女は、結婚はともかく子供を作る気はまったくないらしく、兄である律貴の結婚相手に期待していたのだ。
先の会話の中で、私が〝子供は大好きだから欲しいと思っている〟という話をしたら、皆がものすごくほっとして喜んでいた理由がよくわかる。