天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「白蘭…傷を見るぞ」


顔色が悪くなる白蘭に蘇生術をかけようと衣をはだけ傷口をみた。

爪の傷がひどい。

八咫烏では致命傷だ。

すぐに蘇生術をかけるも効果が薄い。


「っ…」


氷結針のせいだ。

氷結針の効果を火炎術で食い止めていることが問題なのだ。

白蘭が扱うのは水系術。この状態では逆効果だ。

私はすぐに自身にかけている火炎術を解き蘇生術にまわした。


「…うっ」


氷結針はここぞとばかりに威力を増し紅蓮を殺しにかかる。

寒気に襲われ鳳凰である紅蓮の体を凍らせた。

だが、白蘭を殺すわけにはいかない。

白蘭の傷がふさがるのと同時に紅蓮の意識は途絶えた。



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